別所沼の再生を願って(その2) 市民の力で水環境の再生を!

 このブログでも昨年5月に紹介したさいたま市の別所沼が、ついに水質浄化に動き始めたことを最近地元の方からご連絡をいただいた。
 昨年のブログでは「今なら遅くはないが放置すると最悪の事態になる」と警告したが、行政の動く気配が感じられず、ややきつい言葉で行政に対する意見を述べた。
 その後の経過はあまりお聞きしていないが、昨年5月に地元の方々の勉強会でお話しさせていただいた後に、市民の皆さんの動きが盛り上がっていたようだ。
 先日いただいたメールには「別所沼を守る会ニュース第7号」(2013/10/1)が添付されており、そこにはさいたま市の都市公園課長が「別所沼のかいぼりを行う」と発言したことが書かれていた。
 昨年5月から1年足らずの間に行政が妥当な方針に転換されたことを歓迎するとともに、「別所沼を守る会」を中心とした市民の皆さんのご努力に敬意を表したいと思う。
 だたし、今年の「かいぼり」には注意点がいくつかあるので、その点について述べておきたい。
1.「かいぼり」はもともと地域住民が参加できる水質改善手法の一つであるが、別所沼は長期にわたり底質が堆積しており、実態がほとんどわかっていないので、今回は市民が直接池内に入るのは危険を伴いやすい。したがって、池の外でできる仕事をしていただきたい。例えば、魚類や水生生物の水槽への移動や外来魚を区分して移動させるなどの仕事は、委託された業者さんとともにできるはずである。観察記録を自分たちで作ることもできるだろう。
2.行政には来年度以降のかいぼり事業を市民参加でできるように、可能な限りシルト分や浮泥(ヘドロ)部分を除去し、干し上げ後に固結した池底面となるようにしていただきたい。ただし、予算の限界もあるのでどこまで除去できるかはわからないが、一定期間の干し上げが翌年夏の状況に大きく影響することだけは確認できるだろう。
3.市民の皆さんにとっても今年ははじめての経験だから、今後のために何が必要なのかを学ぶつもりで、楽しくかいぼりに参加しながら見守っていただきたい。
 別所沼は小さな池だが、それでも自然界の水の世界がそこには広がっているはず。市民の大切な水環境を今後も守り続けていただくために、そして何よりも、まず池の本当の姿を取りもどすために、どのようにすればよいか行政と市民が協働で考えてていただければありがたいと思う。

十勝の公園池でもアオコが大発生!

 

かつて北海道帯広市には環境基本計画策定でお世話になり、その後も仕事で4年間ほど居住したことがある。その際お世話になった帯広百年記念館学芸員の池田さんから「近隣の公園の池にアオコが大発生している」とfacebookでご指摘があった。
十勝池2007年のアオコ 
2007年当時の写真は右のようで、この時はアナベナが優占種となっていたようだが、今年はミクロキスティスが異常増殖したようだ。

89日にこれまでの様子を概略でうかがって、私なりの意見を取り急ぎお送りし、その中でこのまま推移するとミクロキスティスのような植物プランクトンが増殖する可能性があることを書いたが、想定していた事態がすぐに起こってしまい大変残念に思っている。

以下、その時に池田さんとやりとりしたメールのうち、少し長くなるが私の回答部分を含めて抜粋を転載させていただこうと思う。

●容量が420トンほどの小さな池ですので、水の入れ替えが簡単にできる。したがって、水質改善は容易にできる可能性がある。水深が浅いので、透明度のよい時期は池底まで太陽光が入射して池全体での光合成が可能になっていたはず。この水深ですと、池底までの水温躍層があまり顕著ではなく、表層がかなり暑くなったときには全層で水温が上昇してしまう場合があり、ミクロキスティスのような植物プランクトンが優先する可能性が高い。

●水源を井戸にしたことで、窒素の豊富な地下水が池にはいるようになった可能性があります。池から揚水した地下水は一度どこか池のようなところにプールして、そこから滝にして落としているのでしょうか?

●礫やフトン籠で生き物の生息場所を確保したのはよいことだと思います。

●(2004年までは動物プランクトンがどんどん多くなり、アオコの影も見えず、この調子なら多くの生きものが戻って来るだろうと思われました(スジエビ、ハゼのなかまなど)。ところが2005年にちょっと濁っているかな?という程度の変化があり、2006年には急激な抹茶状態となりました。青い色ははじめて見たもので、誰かがペンキを捨てたのかと思いました。その頃は知識がなく(というよりも北海道にいてアオコなど知る由もないという感じ)おそろしかったのを覚えています。サカマキガイすらあっという間に全滅してしまいました。)

大変よくストーリーがわかります。

おそらく、地下水を揚水しはじめて毎年有機物量が増加していたのだと思いますが、それらが池底に堆積し再溶出し始めたことで、池内の栄養塩濃度が一気に上昇し始めたのが2005年頃なのかも知れません。一度この状況になると、堆積している底泥の処理をするか、流入水と池内滞留水を日量200トンほど浄化して池に戻してやるか、あるいは流入水量を増加させて池内滞留時間を2日以内に抑えてやる(つまり日量200トン程度を流入させて押しだし流れを作る)等々、何らかの対策をとらねばなりません。

●対症療法でも一定期間持続することと、市民のみなさんに理解してもらうこと、市民参加で取り組んでもらうこと、ができれば、池の浄化も楽しくできると思います。夏場の水温も大きな要因ですが、「池の水替え」の際にどこまで水位を下げたか、どれくらいの期間、底泥が干しあげた状態になっていたか、によってその効果は全く変わってきます。

●一般に嫌気状態の底泥は、そのまま放置するとリンの再溶出の原因となりますが、冬季に一度完全に干しあげて(これを「かいぼり」と言います)底泥表面の嫌気状態を改善してあげると、数年は(有機物量にもよりますが)アオコは発生しません。

干し上げ(かいぼり)は対症療法ではなく、古くからわが国のため池で行われてきた行事の一つで、たまたまそれを水質改善手法の一つとして、私たちが利用するようになった立派な水質改善技術です。ですから、これをもっと利用してもらうことを私は地域の方々にお勧めしています。

それは、もっとも処理費用が安価で地域住民の参加が容易だからです。横浜市の三ツ池公園ではこの手法で何年も市民参加によって池の浄化と外来魚駆除を行ってきました。行政に委託でやってもらうのは除去した底泥を処分してもらうことぐらいです。帯広ならば栄養分豊富な底泥を産廃処理などせずに、畑地に還元してやれば一石三鳥・四鳥にもなるでしょう。餌付けも問題かも知れませんが、これを消滅させることが困難ならば、市民に「必要量」を説明して協力してもらうことも大切だと思います。

●(この池は市民による利用が多く、家族連れがボートに乗っているようなところです。このような池の状態でも、です。この状態でボート営業を行うことは適切と思われますか?)

現状を放置すると、おそらくミクロキスティスが異常増殖した際にマット状になり、異臭を放つようになりますから、ボートどころか市民は池から遠のいてしまうでしょう。手を打つなら今しかありません。

●池内のpHが高いのは、植物プランクトンの光合成によって炭酸が消費されるため上昇しているのだと思います。水源のpH9というのはよくわかりません。冒頭で地下水を一度どこかにプールしていますか?とお聞きしたのはこれがあったからです。

●(現在は動物プランクトンもほとんど見られず、トンボの数も多くても300頭程度で頭打ちです。)

池内を健全な生態系に復帰させるには、富栄養状態を早く抜け出すことだと思います。そうすれば早期に以前の状態を取り戻すことができると思います。小さな池ですので結果も早く出るものと思います。

 

夏でも涼しかったあの帯広で、アオコの大発生は驚かれたことと思うが、かつて私はあの冷涼な釧路湿原東部湖沼でアオコの発生を確認していたので、予想した事態と言えなくもない。北海道でも本格的な富栄養化対策が必要な気候変動になっているのかも知れない。


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